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世界平和なう:子どもに夢を与える?

2018/03/21(水)
ネット動画配信のnetflixに「スピリチュアルハウス」という番組がある。これ、一時民放でやってた「オーラの泉」とほぼ同じ趣向です。「オーラの泉」の放送時間には街からスピ系の人がいなくなったといわれるほどの人気番組でしたね。みんな予約録画のやり方知らなかったのかな…。
 
「スピリチュアルハウス」は美輪明宏抜きで江原啓之が単独でゲストの霊視をするトーク番組。その第一回のゲストが元プロ野球選手の清原で、ニ回目のゲストが酒井法子。このネットならではのラインナップがすごい。奇しくも薬物問題で表舞台から消えた二人というのがまた…。
 
アスリートが罪を犯すとよく言われるのが「子どもの夢を壊した」というやつだ。子どもが憧れる職業だからということなんだろう。ここでちょっと違和感を感じるのはぼくだけだろうか? まず、「子どもの夢を壊した」というのがよくわからない。問題行動さえ起こさずに優れたスポーツ選手、指導者であれば、子どもは彼らに憧れたままでいられて「ぼくも◎◎みたいになるんだ!」という夢が壊れないということ? それって対象をただ美化して憧れてるだけの話で実際のアスリートとは別物を目指してるだけだから早々に壊れた方がいいような気もする。
番組の中で「毎日死にたいと思っている」などと鬱々とした心情を吐露する清原に江原は、「世間の間違いは別にいいんです。間違いは誰でもします。むしろその挫折の後、どんな風に生きていくのかをお子さんにだって見せなくちゃ。」と優しく背中を押す。
 
世間では「大人は子どもに良き手本だけを見せるべし」という思い込みがあるかもしれない。それが子どもの夢を育むのだと。だから悪い手本を見せたときは「夢を壊したな!」と叩かれるのだろう。だいたい「子どもの夢」ってなんなんだ?
 
余談だけど、友達一向が熱海のさびれた温泉旅館に行った時に、芸者みたいな人を呼んだことがあったらしい。そしたらけっこうシニアの女性が登場するなりするすると着物を脱ぎ始めて全裸になり、あそこに筆ペンをセットして腰を振り振り半紙に何か書き出したではないか。一同「こんなのを呼んだつもりはなかったんだけど…」とあっけにとられていた。
やがて書き終わった女性がこれ見よがしに一同の目前に掲げた一文字が、
 
 
     
 
 
…とにかくぼくがここで言いたいのは、夢って人が人に「ほら、これでどうだ!」って与えたりするようなものじゃないだろ、っていうこと!(逆ギレ。)
ところで、最近、中高生の人気職業ランキングでは男女とも5位以上ぐらいに入ってる公務員。そういう意味では官僚なんて今では子どもに夢を与える存在なのかもしれないが、国会で野党から責められて型通りの答弁を繰り返してはぐらかす官僚なんか見てると「こんな人間にはなりたくない」と思う子どもも少なくないんじゃないだろうか。
 
その点、「あったものをなかったことにはできない」の名言で一躍時の人となった前川さんはすばらしい。出会い系バーに通っていたことについてもabemaTVで話してたけど、率直で素敵。これ最初は「苦しい言い訳だな〜」と思ったけど、本当に言ってた通りのことで行ったわけね。今は夜間中学でボランティアで教えてたりしてて、ゆるくて芯があるところに夢を与えられる(笑)。
 
前川さん曰く、
「文科省の中でも私を知っている人は『やりかねないな』って思ったはずです。安保法制が国会を通ろうとしていた時だって、SEALDsの連中とともに『安保法制反対!』ってやりましたから。(中略)個人としてしたいことをしているという意味では、出会い系バーに行くのも国会正門前でデモをやるのも同じことなんですよ。(中略)みんな公務員だからって自主規制しすぎで、自分で自分を縛っているというか。組織の中で仕事していても心は自由でないと、いい仕事はできないと思います。」
 
「吉田豪 前川喜平インタビュー書き起こし」
忘れられないドキュメンタリーがある。クラシック愛好家の親が子どもをプロの演奏家にしたいと考えた。そこでごく小さい頃から海外のジュリアード音楽院みたいなところに単身寮生活で留学させたら、ストレスで心身のバランスを崩して帰国した。それ以来寝たきり要介護の生活になってしまった。親は自分では何もできなくなってしまった息子を入浴させながら「あいつらがうちの息子をこんなふうにしたんだ」と言っていた。暗澹たる気持ちになった。
 
大人は自分の夢を子どもに託すような無責任なことしないで、自分の夢は自分の人生でかなえる。時に間違って犯罪者になっても自分の人生をちゃんと生きる。そして子どもたちの夢がどんどん育って自分で夢をかなえられるような平和で生きやすい世界をみんなで作ろう。

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