Viva!ボランティア 詳細
ボランティアさんいらっしゃい:「もっと協力し合ってより良い世界に」平岡紗季さん
2017/09/01(金)
アースキャラバン2017広島でボランティアとして参加して下さった平岡紗季さんにお話を伺いました。
平岡紗季さん:以下、平岡
菱倉(インタビュアー):以下、菱倉
菱倉:よろしくお願いします。平岡さんはFBで見てると、なんだかすごく忙しい生活されてますよね。
平岡:いえ、予定をいれなければ暇があるんですけど、今年の夏は充実させようと思ってボランティアとかいっぱい入れたんです。
菱倉:こないだも、FBに投稿してましたけど、どこかの川でボランティアされてましたよね?
平岡:そうです。山村留学っていうやつで兵庫県に行ってました。
菱倉:へえー。その前はギリシャにいましたよね?
平岡:あれはボランティアじゃないんですけど、WSC※っていう世界大会の予選に出ていて。
※World Scholar's Cup:世界50カ国以上、2万人の中高生が英語で教養を競い合うグローバルイベント。中高生の実行委員を中心に運営されている。
菱倉:あれは予選なんですか?
平岡:一応予選です。で、その予選の中でも成績が良かった人がイェール大学の本選に行くんですけど。
菱倉:内容は英語のスピーチみたいな感じですか?
平岡:今年は、神話、ヒストリー、サイエンス、アート&ミュージック、ソーシャルスタディの5教科を勉強して得点を競ったり、英語でディベートしたりとか。
菱倉:へぇーすごい。それは学校で「こういうのあるよ」って告知されたんですか?
平岡:そうですね。先輩が九州大会に参加してて、それで知ったんです。
菱倉:あー、先輩がボランティアスタッフとして運営に関わったと?
平岡:そうですね。
菱倉:じゃあ、それもボランティアがらみで知ったわけですよね。
平岡:そうです。
菱倉:ふだんからボランティアでいろんなイベントに参加してるんですか?
平岡:いえ、ボランティアはアースキャラバンが初めてです。
菱倉:そうなんですか、しょっちゅうそういうことをしてるのかと思いました。
平岡:いえいえ、でも高校生になったから色々やってみたいなって思って。
◎大変だったけど、いい経験に
菱倉:(眩しくてしばらく言葉が出ない)…ポジティブですねー、元気ですね!で、参加してみてどうでしたか?
平岡:すごい大変ではあったけど、やりがいを感じたりとか、いい経験にはなりました。
菱倉:キャンドルナイトに参加して頂いたんでしたっけ?
平岡:はい。
菱倉:ローソクに火をつけて並べたりとかね。アースキャラバン広島に参加したスタッフが「ボランティアの人たちが若い子も多くてとても一所懸命にやってくれて心が洗われるようだった」と言ってましたけど。
平岡:(笑)。ほんとに大人の人もいい人ばっかりで。
菱倉:スタッフが? ボランティアの方?
平岡:どちらもいました。海外によく行ったりしてる人とか。そういう人たちの話も聞けてすごく良かったなと思いました。
菱倉:ふだんつき合う人たちと全然違う人と喋ったりするからね。
平岡:すごくいい刺激になりました。
菱倉:やっぱりアースキャラバンがチャリティイベントで、それでもやろう、関わりたいっていう人が集まってきてるので、そういうつながりっていうのはあんまり日頃ないですもんね。
平岡:そうですね。
(中略)
◎外国に友達がいっぱいできたら楽しいだろうなって
菱倉:学校面白いですか?
平岡:学校は…勉強が難しいですね。IBコースといって、授業が全部英語なんですよ。
菱倉:全部英語、すごいですね!私立の学校なんですか?
平岡:はい。英語に特化した学校で。
菱倉:じゃ、英語ペラペラになりたいっていう感じですか?
平岡:そうですね。なりたいです。
菱倉:将来は英語を使った仕事とか、海外に住みたいとか?
平岡:海外に住みたいです。
菱倉:どこがいいですか?
平岡:ニュージーランドとかオーストラリアとか。
菱倉:自然の豊かなところですね。こないだのギリシャ以外で海外はどこに行ったことがありますか?
平岡:ニュージーランド、オーストラリア、シンガポール、タイ、バリ、それぐらいですね。
菱倉:けっこう行ってますね。家族旅行で?
平岡:はい。
菱倉:自然の好きなご家族なのかな。
平岡:はい。よく海に遊びに行きます。
菱倉:いいですね。ワーキングホリデーでしたっけ?オーストラリアとかニュージーランドはありますよね。うちの姉がああいうので、どっちだかにワーホリで行ってました。
平岡:自分の父と母もワーホリでニュージーランドに行ってました。
菱倉:じゃあご両親も英語喋れたり、国際的な感じなんですか?
平岡:母は英語喋らなすぎて忘れてます。父は仕事でけっこう使うので割と喋れます。
菱倉:どうして英語を喋りたいなって思ったんですか?
平岡:父が仕事で英語を使ってて家にいろんな外国人の人を連れて来るんですよ。
菱倉:仕事のつきあいの人を?
平岡:そうです。それで世界中に友達がいっぱいいて、そういうことが自分もできたら楽しいだろうなって。視野も広がるじゃないですか。
菱倉:本当に面白いですよね、外国人の友達がいるとね。こないだのギリシャでもお友達できたんじゃないですか?
平岡:はい。自分の知らないことを教えてもらえたり。いつもとは違う友達ができてすごく良かったです。
菱倉:けっこう海外に出ただけでも「日本って変な国だな」とか思いますよね。
平岡:うん。すごい「守られてるな」って。日本人は日本人みたいな。他の国だったら母国語以外に英語も話せて。
菱倉:日本人は単一民族みたいな感じですもんね。外国人って「外人」っていう言葉をあんまり使わないんじゃないですかね?どこの国にも外国人がいて地続きで行き来がスムースでしょ。英語も普通に使ってて文化も習慣も違う人同士が普通に暮らしてるじゃないですか?日本だと日本人ばっかりで外人か日本人の二つに一つみたいな。
平岡:限られてますよね。
菱倉:そういう意味で日本ってちょっと特殊な国ですよね。英語もみんな外国だとペラペラ喋れるじゃないですか?日本ってこんなに勉強させられてるのに学校教育だけじゃほとんど喋れないでしょう。
平岡:英検とかも意味ないなーって。1級とれても喋れないし。
菱倉:うん。そういう学校だとTOEFLとかTOEICなのかな。
平岡:英検が強制なんです。
菱倉:英検も二級とか一級とかになると、会話あるんじゃないですか?
平岡:そんなにないですよ。
菱倉:外国語って面白いですよね。英語喋るとなんか別の人格になったりしません?
平岡:なったりします(笑)。
菱倉:すごいオープンでポジティブでピュアな奴みたいになりません?
平岡:なります、なります。
菱倉:不思議ですよね、開放的になるっていうか。
平岡:英語の時の方がフレンドリーになる。
菱倉:ね?あれは面白いですよね。やっぱりなんか世界共通語になるだけあって、いろんな人が大まかにざっくりコミュニケーションとれるみたいな。日本語はすごくニュアンスとか細かいじゃないですか。
平岡:そうですよね。日本語だとちょっと何を言おうかと詰まっちゃいますよね。
菱倉:うん。日本語だとみんなシャイになっちゃうんじゃないか(笑)。
平岡:(笑)。
(中略)
菱倉:広島在住なんですよね。こないだ沖手さんていう方にお話伺ったんですけど、広島の学生は戦争についてかなり教育を受けると言ってましたけど。そうなんですか?
平岡:小学生の時からずっと平和学習というのがあって、8月6日には学校に集まって黙祷したりします。
菱倉:そうなんですね。アースキャラバンってけっこう反戦をメインのメッセージにしてる※イベントなんです。というか、「幸せと自由を世界中でシェアしよう」とする時、戦争が地球上のどこかであるという現実をないがしろにはできないということなんですけどね。
それで今の世界の状況についてどう思います?
※アースキャラバンのスローガン「幸せと自由をシェアしよう」
アースキャラバンの理念
平岡:うーん…
菱倉:あんまり危機感はないですか?
平岡:ああ、トランプ氏になって「これからどうなるんだろう?」っていうのはあります。
菱倉:イケイケだからね。
平岡:こないだトランプが北朝鮮に向けて「こっちもやるぞ」みたいなことを言ってましたよね。そういうことを安易に言ってしまうところがアメリカのリーダーとしてあんまり良くないところじゃないかなって思いました。
菱倉:中東に行ったスタッフがリポートしてましたけど、イスラエルとパレスチナは戦争状態っていうか、ジャイアンがノビ太を一方的にいじめてるって感じかな。パレスチナの子どもがいきなり撃ち殺されたりするんですよ。いつもイスラエル兵にいじめられてるから石を投げたりするじゃないですか、そうすると銃で撃たれたりしてそれで撃った方が全く罰せられなかったりするんですよ。
平岡:信じられないです。
菱倉:平岡さんぐらいの子、いや、もっと小さい子が夜中ジープでやってきた兵士に「お前デモに参加したろ?」って連れ去られて何年も親と離れて暮らす、とかそういうの普通にあるんですよ。「親が面会に来ないのはお前のことを愛してないからだ」とか言って洗脳されたりして。釈放されてからも家族とうまくつき合えなくなってるとか。
平岡:本当に信じられないですね。
菱倉:だから全く人権とか守られてないんですよ。それでパレスチナのことを知って下さいと映画の上映とかやってるんですけど、報道ではやらないでしょう。
平岡:そうですね。
菱倉:「パレスチナのハマスがロケット弾を打ち込んで、イスラエルが応戦した」とか対等にやり合ってるみたいな報道のされ方じゃないですか。
平岡:ええ。現地の報道の仕方と日本の報道の仕方がけっこう違ったりしますよね。
菱倉:日本ってジャーナリズムがほとんどない国なんですよ。普通はメディアは権力が暴走しないようにウォッチしてちょっと牽制してるような、敵対するような立ち場なんです。日本の大手マスコミは記者クラブがあって各省庁から流れて来る情報をそのまま横流しするみたいな感じですから。
平岡:ええ。
菱倉:ネットが普及して真実が明るみに出るようになってきたけど、それは最近の話ですからね。
平岡:なるほど。
◎世界中の人がもっと協力できればより良い世界に
菱倉:こんな世の中になったらいいなってあります?逆に今の世の中のこういうところが嫌だとか。
平岡:ミサイルを飛ばしたりとか、国によって発展してるところと発展してないところがあったりとか。
菱倉:世界規模で見たときの格差の話ですか?
平岡:そうですね。全部を平等にするのは難しいかもしれないですけど、発展してる国が発展してない国をもっと助けたりとか、世界中の人で協力してもっとより良い世界になるんじゃないとかと。
菱倉:そうですね。アフリカで飢餓があるとかってあんなのずっと変わらないですからね。食糧なんてほら、先進国では外食産業でもなんでも大量に捨ててるじゃないですか?
平岡:そうですね。
菱倉:賞味期限よりちょっと早めに廃棄しちゃうし。これは現実には無理ですけど、そうやって無駄に捨ててるような国の余ってる分を足りないところに届けたりできれば、世界で飢える人って今より全然少ないでしょう。そのぐらい偏ってる。穀物の価格とかも投機の対象になってて一部の人の思惑で値段がつり上げられたりして貧しい人の手に届かないこともあるし。もっとひどいのは、アメリカの軍事予算が世界最高だと思うんですけど、一秒間にいくら使われてるか知ってますか?
平岡:全然想像つかないです。
菱倉:日本円で212万※です。それがバサッ、バサッって捨てられるっていうかもっとひどいですよね。人を傷つけるために使われるんだから。
※2016年度の軍事予算で計算すると、212万/秒
平岡:それはもっと足りないところにまわしたいですよね。
菱倉:そうでしょう。みんなね、今の状況からすると、本当に夢みたいな話ですけど、「戦争なんてあんな馬鹿なことを昔はやってたんだね」っていう時代になったら、そういう莫大な軍事費を人の不幸とか苦しみを取り除くために使えるんですよ。たとえば、ホームレスとか難民の住居とか。アースキャラバンのサイトでそのへんの情報がまとまってましたけどね。※
※世界の軍事費1年分で人を救うためにできること
菱倉:今の格差のない世界とか協力し合う世界とかそういうことのために心がけたいこととか、やっていきたいことってありますか?
平岡:電気とか水とかを無駄にしないとか。発展していないところの足しにはならないかもしれないですけどね。兄弟とか周りの人が食べ物とか残してたら、自分たちはお金があるから買えるけど、手に入らない人もいるっていうことを忘れないとか、それを伝えるとか。あと募金活動とかそういうのに参加して少しでも貢献したいなと思います。
菱倉:素敵ですね。あと平岡さんは英語でいろんな人とコミュニケーションとりたいっていう願いがあるじゃないですか。それ自体がけっこう平和活動ですよね。日本でも「韓国の奴らが!」とかヘイトスピーチとかあるでしょう。韓国人だっていろんな人がいるし、日本人だってそうですよね。でもひとまとめにして「あいつらは!」みたいな思い込みができたりするじゃないですか、人間って。
平岡:せっかくいい人もいるのにもったいないですよね。
菱倉:そうですよね。だから普通に会って話してみたらみんな同じなんですよ。「彼女ほしいんだよね」とか「この曲いいよね」とか同じ人間なんで、それが離れてて直接のコミュニケーションがなくていろんな情報が刷り込まれたりすると、「あいつは悪い奴らで攻めてくるんじゃないか」とか思っちゃったりして。
平岡:ええ。
菱倉:結局ひとりひとりの思ってることが全体を動かす力になっていくわけだから、いろんな国の人とコミュニケーションとって、相手に「ああ素敵な日本人に会えた」って思ってもらえたら、もうそれだけで平和活動だと思うんですよね。
平岡:そうですね。
菱倉:特に今、日本は武器の開発とか輸出とか解禁してるじゃないですか、それで中東に行くと言われるんですって、「日本はイスラエルと共同で兵器を開発してるけど、その無人機でパレスチナの子どもたちが殺されるようになることについてどう思うのか?」なんて。それで答えに詰まっちゃったとかね。
平岡:うーん。
菱倉:それをやってるのは、誰でも知ってる日本の超有名企業ですからね。だから行った先でそんな日本人ばっかりじゃないんだよっていうのを伝えたいですよね。
平岡:なるほど。
(シーーン。沈黙)
菱倉:…すみません、なんか重い話になっちゃって(笑)。
平岡:いえいえ、勉強になりました。
菱倉:本当はこういうことに顔突っ込み出すと、知れば知るほどつらいことばっかりなんですけどね。
平岡:でも事実だから知っておいた方が。
菱倉:そうですね。見ない方がハッピーかもしれないけど、本当のことなので。アースキャラバンについてのメッセージとか、何かありますか?
平岡:アースキャラバンって何年目なんですか?
菱倉:2015年が初めだから3年目ですね。パレスチナが解放されるまで続けるということでやってます。あの、現地の人にね「いろんなところから人が来るけど、一時的なものでみんなやがて来なくなる」って言われたらしいです。
平岡:どういうことですか?
菱倉:ボランティアが井戸掘るのを手伝ってくれたり、デモに参加してくれたりするんだけど、そんなに毎年行ってられないじゃないですか、普通は。自分たちの生活もあるし、お金もかかるし。人間どうしても自分のことを優先するじゃないですか。
平岡:はい。そうですね。
菱倉:だから、「あなたたちもすぐ来なくなっちゃうんじゃないの?」って言われて、確かにそれじゃ駄目だよな」ってことで、「毎年やる!パレスチナ解放されるまでやる!」ってことになって。実際すごく感謝されるんですって。「自分たちのことを忘れないでいてくれて、また来てくれた」って。何十年も迫害されつづけてたら「多くの人が自分たちのことを他人事としている。自分たちは世界から見捨てられてる。」って思うでしょうからね。
平岡:ほかの国でも広島でやったことと同じことをするんですか?
菱倉:最初の年は、拡大版でやったんですよ。ドイツのアウシュビッツとか、戦争で悲惨な出来事がいろんな国であったじゃないですか。そういうところを原爆の火を持って回って、広島から東京まで自転車で運んで、それをさらに飛行機に持ち込んでヨーロッパでもランタンで持ち歩きながらまわって、最後中東まで持って行って今でも現地で燃えてるらしいです。
平岡:すごいですね~。
菱倉:呼びかけ人の遠藤喨及(りょうきゅう)さんは僧侶なので、各地で慰霊の儀式なんかをやりながらまわっていったんですよ。チャリティマーケットとかライブとかやりながら。で、みんなで歌って遊んで。それで中東行ったんですよね。今年は海外はカナダ、パレスチナだけかな。
平岡:人集めとかもけっこう苦労したりするんですか?
菱倉:その遠藤さんっていうのが、タオ療法という手技療法の創始者なんですよ。
平岡:え?
菱倉:手技療法。手でやる治療法。見た目は指圧みたいな感じ。
平岡:あー。うんうん。わかります。
菱倉:もともと、だから手技療法の先生だったんです(今でも先生です)。ぼくとか「BE FREE!」監督の鈴木聡とかみんな生徒なんです。世界中に生徒さんがいて、本もたくさん出してるような有名な先生なので。
平岡:すごいですねー。
菱倉:結局、鍼灸の人はツボがここにあると図で書いてあってそれをもとに習うんですけど、遠藤さんは「決まった位置にあるなんてそんなの嘘だ。人の体はモノじゃないから、治療する側がどういう気持ちで患者さんに向き合うかによって捉えられるツボが変わるんだ。」と。だから「心の修行をしましょう」ということで、気と心のワークとか念仏修行というのがあるんです。もちろん治療の知識とかメソッドもあってそれも練習しますけど。
平岡:はい。
菱倉:たとえば体がぴったりくっつくぐらいに座って、Aさんが「世の中なんかどうなったっていい!」って無責任な気持ちになった時に、隣のBさんはちょっと嫌な感じがするんです。寒いとか、とにかくあんまり気持ちよくない。で、役割変わって同じことやって、やっぱり同じ感じがすると。
平岡:はい。
菱倉:今度は逆にAさんが「その場に責任を持つ。周りを明るくする。盛り上げてみせる」という心になると、Bさんは今度はなんとなく温かく感じたり、心地よく感じるんです。人は心の状態によって内外に発する気が変わって、その影響をふだんから受けてるんです。みんなそれを感じる感性があるんです。だから同じ場所を触るんでも「なおしてやるぞ」という相手の上に立とうとする自分中心の心と「相手に幸せになってほしい」という利他的な心とでは、全然起こることが違うんです。だから「心の修行抜きにして治療なんかできない。心技一体なんだ」と教わるんです。
平岡:なるほど。
菱倉:そういう修行の世界に入って行くと、世界の裏側にいる困っている人たちのことがどんどん他人事に思えなくなってくるんですよ。
平岡:なるほど。
菱倉:普通は他人事じゃないですか。「自分の生活忙しいし」っていうのが優先しちゃうじゃないですか。
平岡:そうですね。
菱倉:だから北朝鮮とか武器を作ってる人が世の中を悪くしてるっていうより、戦争があっても他人事にしちゃってる人がたくさんいるから戦争がなくならないということもあると思います。
平岡:うんうん。
菱倉:だから本当はみんなのせいなんですよね。だって、世界中で飢えてる人とか難民とか汚い水飲んでる人とかたくさんいるのはずっと知ってるけど、そのために募金したり、あんまりしないでしょう?お金余ってたっていい車買っちゃったりして。
平岡:そうですね。
菱倉:それって今の世の中だと責められないでしょう。それが当たり前になってるっていうのは、人間の心っていうのがまだまだ未熟なんだと思います。本当は人間ってそういう生き物じゃないはずだよね、っていうのをどんどん広げて行きたいなと思ってみんなでやってるんですけど。
平岡:なるほど。
菱倉:さっき話題に上がったワークショップ※をたまにやってるので今度あったらお知らせしますよ。すごく面白いですよ。
※「気の幸福力」ワークショップ…気を練る練気体操や心技一体の指圧、合気道にも似た気心道、気のワークなど多彩なメニューからなる体験を通じて、これまでどこでも教えられなかった人生の秘密、気と心と言葉と体の不思議な関係に目覚めるワークショプ。単発で行われるものもある。スケジュールはこちらから。
平岡:気になりますね。
菱倉:…ではそろそろ、長くなりましたけど、ありがとうございました。
平岡:あんまり喋ってないんですけど、大丈夫ですか?
菱倉:ぼくの方がやたら喋ってますよね(笑)。すいません。なんかインタビューじゃなくなっちゃった(汗)。
平岡:あはははは(笑)
菱倉:ご協力ありがとうございました。
平岡:いろいろと勉強になりました。
菱倉:英語バリバリで国際的な人になってください。
平岡:頑張ります(笑)
菱倉:これからが楽しみですね。
終わり
平岡紗季さん:以下、平岡
菱倉(インタビュアー):以下、菱倉
菱倉:よろしくお願いします。平岡さんはFBで見てると、なんだかすごく忙しい生活されてますよね。
平岡:いえ、予定をいれなければ暇があるんですけど、今年の夏は充実させようと思ってボランティアとかいっぱい入れたんです。
菱倉:こないだも、FBに投稿してましたけど、どこかの川でボランティアされてましたよね?
平岡:そうです。山村留学っていうやつで兵庫県に行ってました。
菱倉:へえー。その前はギリシャにいましたよね?
平岡:あれはボランティアじゃないんですけど、WSC※っていう世界大会の予選に出ていて。
※World Scholar's Cup:世界50カ国以上、2万人の中高生が英語で教養を競い合うグローバルイベント。中高生の実行委員を中心に運営されている。
菱倉:あれは予選なんですか?
平岡:一応予選です。で、その予選の中でも成績が良かった人がイェール大学の本選に行くんですけど。
菱倉:内容は英語のスピーチみたいな感じですか?
平岡:今年は、神話、ヒストリー、サイエンス、アート&ミュージック、ソーシャルスタディの5教科を勉強して得点を競ったり、英語でディベートしたりとか。
菱倉:へぇーすごい。それは学校で「こういうのあるよ」って告知されたんですか?
平岡:そうですね。先輩が九州大会に参加してて、それで知ったんです。
菱倉:あー、先輩がボランティアスタッフとして運営に関わったと?
平岡:そうですね。
菱倉:じゃあ、それもボランティアがらみで知ったわけですよね。
平岡:そうです。
菱倉:ふだんからボランティアでいろんなイベントに参加してるんですか?
平岡:いえ、ボランティアはアースキャラバンが初めてです。
菱倉:そうなんですか、しょっちゅうそういうことをしてるのかと思いました。
平岡:いえいえ、でも高校生になったから色々やってみたいなって思って。
◎大変だったけど、いい経験に
菱倉:(眩しくてしばらく言葉が出ない)…ポジティブですねー、元気ですね!で、参加してみてどうでしたか?
平岡:すごい大変ではあったけど、やりがいを感じたりとか、いい経験にはなりました。
菱倉:キャンドルナイトに参加して頂いたんでしたっけ?
平岡:はい。
菱倉:ローソクに火をつけて並べたりとかね。アースキャラバン広島に参加したスタッフが「ボランティアの人たちが若い子も多くてとても一所懸命にやってくれて心が洗われるようだった」と言ってましたけど。
平岡:(笑)。ほんとに大人の人もいい人ばっかりで。
菱倉:スタッフが? ボランティアの方?
平岡:どちらもいました。海外によく行ったりしてる人とか。そういう人たちの話も聞けてすごく良かったなと思いました。
菱倉:ふだんつき合う人たちと全然違う人と喋ったりするからね。
平岡:すごくいい刺激になりました。
菱倉:やっぱりアースキャラバンがチャリティイベントで、それでもやろう、関わりたいっていう人が集まってきてるので、そういうつながりっていうのはあんまり日頃ないですもんね。
平岡:そうですね。
(中略)
◎外国に友達がいっぱいできたら楽しいだろうなって
菱倉:学校面白いですか?
平岡:学校は…勉強が難しいですね。IBコースといって、授業が全部英語なんですよ。
菱倉:全部英語、すごいですね!私立の学校なんですか?
平岡:はい。英語に特化した学校で。
菱倉:じゃ、英語ペラペラになりたいっていう感じですか?
平岡:そうですね。なりたいです。
菱倉:将来は英語を使った仕事とか、海外に住みたいとか?
平岡:海外に住みたいです。
菱倉:どこがいいですか?
平岡:ニュージーランドとかオーストラリアとか。
菱倉:自然の豊かなところですね。こないだのギリシャ以外で海外はどこに行ったことがありますか?
平岡:ニュージーランド、オーストラリア、シンガポール、タイ、バリ、それぐらいですね。
菱倉:けっこう行ってますね。家族旅行で?
平岡:はい。
菱倉:自然の好きなご家族なのかな。
平岡:はい。よく海に遊びに行きます。
菱倉:いいですね。ワーキングホリデーでしたっけ?オーストラリアとかニュージーランドはありますよね。うちの姉がああいうので、どっちだかにワーホリで行ってました。
平岡:自分の父と母もワーホリでニュージーランドに行ってました。
菱倉:じゃあご両親も英語喋れたり、国際的な感じなんですか?
平岡:母は英語喋らなすぎて忘れてます。父は仕事でけっこう使うので割と喋れます。
菱倉:どうして英語を喋りたいなって思ったんですか?
平岡:父が仕事で英語を使ってて家にいろんな外国人の人を連れて来るんですよ。
菱倉:仕事のつきあいの人を?
平岡:そうです。それで世界中に友達がいっぱいいて、そういうことが自分もできたら楽しいだろうなって。視野も広がるじゃないですか。
菱倉:本当に面白いですよね、外国人の友達がいるとね。こないだのギリシャでもお友達できたんじゃないですか?
平岡:はい。自分の知らないことを教えてもらえたり。いつもとは違う友達ができてすごく良かったです。
菱倉:けっこう海外に出ただけでも「日本って変な国だな」とか思いますよね。
平岡:うん。すごい「守られてるな」って。日本人は日本人みたいな。他の国だったら母国語以外に英語も話せて。
菱倉:日本人は単一民族みたいな感じですもんね。外国人って「外人」っていう言葉をあんまり使わないんじゃないですかね?どこの国にも外国人がいて地続きで行き来がスムースでしょ。英語も普通に使ってて文化も習慣も違う人同士が普通に暮らしてるじゃないですか?日本だと日本人ばっかりで外人か日本人の二つに一つみたいな。
平岡:限られてますよね。
菱倉:そういう意味で日本ってちょっと特殊な国ですよね。英語もみんな外国だとペラペラ喋れるじゃないですか?日本ってこんなに勉強させられてるのに学校教育だけじゃほとんど喋れないでしょう。
平岡:英検とかも意味ないなーって。1級とれても喋れないし。
菱倉:うん。そういう学校だとTOEFLとかTOEICなのかな。
平岡:英検が強制なんです。
菱倉:英検も二級とか一級とかになると、会話あるんじゃないですか?
平岡:そんなにないですよ。
菱倉:外国語って面白いですよね。英語喋るとなんか別の人格になったりしません?
平岡:なったりします(笑)。
菱倉:すごいオープンでポジティブでピュアな奴みたいになりません?
平岡:なります、なります。
菱倉:不思議ですよね、開放的になるっていうか。
平岡:英語の時の方がフレンドリーになる。
菱倉:ね?あれは面白いですよね。やっぱりなんか世界共通語になるだけあって、いろんな人が大まかにざっくりコミュニケーションとれるみたいな。日本語はすごくニュアンスとか細かいじゃないですか。
平岡:そうですよね。日本語だとちょっと何を言おうかと詰まっちゃいますよね。
菱倉:うん。日本語だとみんなシャイになっちゃうんじゃないか(笑)。
平岡:(笑)。
(中略)
菱倉:広島在住なんですよね。こないだ沖手さんていう方にお話伺ったんですけど、広島の学生は戦争についてかなり教育を受けると言ってましたけど。そうなんですか?
平岡:小学生の時からずっと平和学習というのがあって、8月6日には学校に集まって黙祷したりします。
菱倉:そうなんですね。アースキャラバンってけっこう反戦をメインのメッセージにしてる※イベントなんです。というか、「幸せと自由を世界中でシェアしよう」とする時、戦争が地球上のどこかであるという現実をないがしろにはできないということなんですけどね。
それで今の世界の状況についてどう思います?
※アースキャラバンのスローガン「幸せと自由をシェアしよう」
アースキャラバンの理念
平岡:うーん…
菱倉:あんまり危機感はないですか?
平岡:ああ、トランプ氏になって「これからどうなるんだろう?」っていうのはあります。
菱倉:イケイケだからね。
平岡:こないだトランプが北朝鮮に向けて「こっちもやるぞ」みたいなことを言ってましたよね。そういうことを安易に言ってしまうところがアメリカのリーダーとしてあんまり良くないところじゃないかなって思いました。
菱倉:中東に行ったスタッフがリポートしてましたけど、イスラエルとパレスチナは戦争状態っていうか、ジャイアンがノビ太を一方的にいじめてるって感じかな。パレスチナの子どもがいきなり撃ち殺されたりするんですよ。いつもイスラエル兵にいじめられてるから石を投げたりするじゃないですか、そうすると銃で撃たれたりしてそれで撃った方が全く罰せられなかったりするんですよ。
平岡:信じられないです。
菱倉:平岡さんぐらいの子、いや、もっと小さい子が夜中ジープでやってきた兵士に「お前デモに参加したろ?」って連れ去られて何年も親と離れて暮らす、とかそういうの普通にあるんですよ。「親が面会に来ないのはお前のことを愛してないからだ」とか言って洗脳されたりして。釈放されてからも家族とうまくつき合えなくなってるとか。
平岡:本当に信じられないですね。
菱倉:だから全く人権とか守られてないんですよ。それでパレスチナのことを知って下さいと映画の上映とかやってるんですけど、報道ではやらないでしょう。
平岡:そうですね。
菱倉:「パレスチナのハマスがロケット弾を打ち込んで、イスラエルが応戦した」とか対等にやり合ってるみたいな報道のされ方じゃないですか。
平岡:ええ。現地の報道の仕方と日本の報道の仕方がけっこう違ったりしますよね。
菱倉:日本ってジャーナリズムがほとんどない国なんですよ。普通はメディアは権力が暴走しないようにウォッチしてちょっと牽制してるような、敵対するような立ち場なんです。日本の大手マスコミは記者クラブがあって各省庁から流れて来る情報をそのまま横流しするみたいな感じですから。
平岡:ええ。
菱倉:ネットが普及して真実が明るみに出るようになってきたけど、それは最近の話ですからね。
平岡:なるほど。
◎世界中の人がもっと協力できればより良い世界に
菱倉:こんな世の中になったらいいなってあります?逆に今の世の中のこういうところが嫌だとか。
平岡:ミサイルを飛ばしたりとか、国によって発展してるところと発展してないところがあったりとか。
菱倉:世界規模で見たときの格差の話ですか?
平岡:そうですね。全部を平等にするのは難しいかもしれないですけど、発展してる国が発展してない国をもっと助けたりとか、世界中の人で協力してもっとより良い世界になるんじゃないとかと。
菱倉:そうですね。アフリカで飢餓があるとかってあんなのずっと変わらないですからね。食糧なんてほら、先進国では外食産業でもなんでも大量に捨ててるじゃないですか?
平岡:そうですね。
菱倉:賞味期限よりちょっと早めに廃棄しちゃうし。これは現実には無理ですけど、そうやって無駄に捨ててるような国の余ってる分を足りないところに届けたりできれば、世界で飢える人って今より全然少ないでしょう。そのぐらい偏ってる。穀物の価格とかも投機の対象になってて一部の人の思惑で値段がつり上げられたりして貧しい人の手に届かないこともあるし。もっとひどいのは、アメリカの軍事予算が世界最高だと思うんですけど、一秒間にいくら使われてるか知ってますか?
平岡:全然想像つかないです。
菱倉:日本円で212万※です。それがバサッ、バサッって捨てられるっていうかもっとひどいですよね。人を傷つけるために使われるんだから。
※2016年度の軍事予算で計算すると、212万/秒
平岡:それはもっと足りないところにまわしたいですよね。
菱倉:そうでしょう。みんなね、今の状況からすると、本当に夢みたいな話ですけど、「戦争なんてあんな馬鹿なことを昔はやってたんだね」っていう時代になったら、そういう莫大な軍事費を人の不幸とか苦しみを取り除くために使えるんですよ。たとえば、ホームレスとか難民の住居とか。アースキャラバンのサイトでそのへんの情報がまとまってましたけどね。※
※世界の軍事費1年分で人を救うためにできること
菱倉:今の格差のない世界とか協力し合う世界とかそういうことのために心がけたいこととか、やっていきたいことってありますか?
平岡:電気とか水とかを無駄にしないとか。発展していないところの足しにはならないかもしれないですけどね。兄弟とか周りの人が食べ物とか残してたら、自分たちはお金があるから買えるけど、手に入らない人もいるっていうことを忘れないとか、それを伝えるとか。あと募金活動とかそういうのに参加して少しでも貢献したいなと思います。
菱倉:素敵ですね。あと平岡さんは英語でいろんな人とコミュニケーションとりたいっていう願いがあるじゃないですか。それ自体がけっこう平和活動ですよね。日本でも「韓国の奴らが!」とかヘイトスピーチとかあるでしょう。韓国人だっていろんな人がいるし、日本人だってそうですよね。でもひとまとめにして「あいつらは!」みたいな思い込みができたりするじゃないですか、人間って。
平岡:せっかくいい人もいるのにもったいないですよね。
菱倉:そうですよね。だから普通に会って話してみたらみんな同じなんですよ。「彼女ほしいんだよね」とか「この曲いいよね」とか同じ人間なんで、それが離れてて直接のコミュニケーションがなくていろんな情報が刷り込まれたりすると、「あいつは悪い奴らで攻めてくるんじゃないか」とか思っちゃったりして。
平岡:ええ。
菱倉:結局ひとりひとりの思ってることが全体を動かす力になっていくわけだから、いろんな国の人とコミュニケーションとって、相手に「ああ素敵な日本人に会えた」って思ってもらえたら、もうそれだけで平和活動だと思うんですよね。
平岡:そうですね。
菱倉:特に今、日本は武器の開発とか輸出とか解禁してるじゃないですか、それで中東に行くと言われるんですって、「日本はイスラエルと共同で兵器を開発してるけど、その無人機でパレスチナの子どもたちが殺されるようになることについてどう思うのか?」なんて。それで答えに詰まっちゃったとかね。
平岡:うーん。
菱倉:それをやってるのは、誰でも知ってる日本の超有名企業ですからね。だから行った先でそんな日本人ばっかりじゃないんだよっていうのを伝えたいですよね。
平岡:なるほど。
(シーーン。沈黙)
菱倉:…すみません、なんか重い話になっちゃって(笑)。
平岡:いえいえ、勉強になりました。
菱倉:本当はこういうことに顔突っ込み出すと、知れば知るほどつらいことばっかりなんですけどね。
平岡:でも事実だから知っておいた方が。
菱倉:そうですね。見ない方がハッピーかもしれないけど、本当のことなので。アースキャラバンについてのメッセージとか、何かありますか?
平岡:アースキャラバンって何年目なんですか?
菱倉:2015年が初めだから3年目ですね。パレスチナが解放されるまで続けるということでやってます。あの、現地の人にね「いろんなところから人が来るけど、一時的なものでみんなやがて来なくなる」って言われたらしいです。
平岡:どういうことですか?
菱倉:ボランティアが井戸掘るのを手伝ってくれたり、デモに参加してくれたりするんだけど、そんなに毎年行ってられないじゃないですか、普通は。自分たちの生活もあるし、お金もかかるし。人間どうしても自分のことを優先するじゃないですか。
平岡:はい。そうですね。
菱倉:だから、「あなたたちもすぐ来なくなっちゃうんじゃないの?」って言われて、確かにそれじゃ駄目だよな」ってことで、「毎年やる!パレスチナ解放されるまでやる!」ってことになって。実際すごく感謝されるんですって。「自分たちのことを忘れないでいてくれて、また来てくれた」って。何十年も迫害されつづけてたら「多くの人が自分たちのことを他人事としている。自分たちは世界から見捨てられてる。」って思うでしょうからね。
平岡:ほかの国でも広島でやったことと同じことをするんですか?
菱倉:最初の年は、拡大版でやったんですよ。ドイツのアウシュビッツとか、戦争で悲惨な出来事がいろんな国であったじゃないですか。そういうところを原爆の火を持って回って、広島から東京まで自転車で運んで、それをさらに飛行機に持ち込んでヨーロッパでもランタンで持ち歩きながらまわって、最後中東まで持って行って今でも現地で燃えてるらしいです。
平岡:すごいですね~。
菱倉:呼びかけ人の遠藤喨及(りょうきゅう)さんは僧侶なので、各地で慰霊の儀式なんかをやりながらまわっていったんですよ。チャリティマーケットとかライブとかやりながら。で、みんなで歌って遊んで。それで中東行ったんですよね。今年は海外はカナダ、パレスチナだけかな。
平岡:人集めとかもけっこう苦労したりするんですか?
菱倉:その遠藤さんっていうのが、タオ療法という手技療法の創始者なんですよ。
平岡:え?
菱倉:手技療法。手でやる治療法。見た目は指圧みたいな感じ。
平岡:あー。うんうん。わかります。
菱倉:もともと、だから手技療法の先生だったんです(今でも先生です)。ぼくとか「BE FREE!」監督の鈴木聡とかみんな生徒なんです。世界中に生徒さんがいて、本もたくさん出してるような有名な先生なので。
平岡:すごいですねー。
菱倉:結局、鍼灸の人はツボがここにあると図で書いてあってそれをもとに習うんですけど、遠藤さんは「決まった位置にあるなんてそんなの嘘だ。人の体はモノじゃないから、治療する側がどういう気持ちで患者さんに向き合うかによって捉えられるツボが変わるんだ。」と。だから「心の修行をしましょう」ということで、気と心のワークとか念仏修行というのがあるんです。もちろん治療の知識とかメソッドもあってそれも練習しますけど。
平岡:はい。
菱倉:たとえば体がぴったりくっつくぐらいに座って、Aさんが「世の中なんかどうなったっていい!」って無責任な気持ちになった時に、隣のBさんはちょっと嫌な感じがするんです。寒いとか、とにかくあんまり気持ちよくない。で、役割変わって同じことやって、やっぱり同じ感じがすると。
平岡:はい。
菱倉:今度は逆にAさんが「その場に責任を持つ。周りを明るくする。盛り上げてみせる」という心になると、Bさんは今度はなんとなく温かく感じたり、心地よく感じるんです。人は心の状態によって内外に発する気が変わって、その影響をふだんから受けてるんです。みんなそれを感じる感性があるんです。だから同じ場所を触るんでも「なおしてやるぞ」という相手の上に立とうとする自分中心の心と「相手に幸せになってほしい」という利他的な心とでは、全然起こることが違うんです。だから「心の修行抜きにして治療なんかできない。心技一体なんだ」と教わるんです。
平岡:なるほど。
菱倉:そういう修行の世界に入って行くと、世界の裏側にいる困っている人たちのことがどんどん他人事に思えなくなってくるんですよ。
平岡:なるほど。
菱倉:普通は他人事じゃないですか。「自分の生活忙しいし」っていうのが優先しちゃうじゃないですか。
平岡:そうですね。
菱倉:だから北朝鮮とか武器を作ってる人が世の中を悪くしてるっていうより、戦争があっても他人事にしちゃってる人がたくさんいるから戦争がなくならないということもあると思います。
平岡:うんうん。
菱倉:だから本当はみんなのせいなんですよね。だって、世界中で飢えてる人とか難民とか汚い水飲んでる人とかたくさんいるのはずっと知ってるけど、そのために募金したり、あんまりしないでしょう?お金余ってたっていい車買っちゃったりして。
平岡:そうですね。
菱倉:それって今の世の中だと責められないでしょう。それが当たり前になってるっていうのは、人間の心っていうのがまだまだ未熟なんだと思います。本当は人間ってそういう生き物じゃないはずだよね、っていうのをどんどん広げて行きたいなと思ってみんなでやってるんですけど。
平岡:なるほど。
菱倉:さっき話題に上がったワークショップ※をたまにやってるので今度あったらお知らせしますよ。すごく面白いですよ。
※「気の幸福力」ワークショップ…気を練る練気体操や心技一体の指圧、合気道にも似た気心道、気のワークなど多彩なメニューからなる体験を通じて、これまでどこでも教えられなかった人生の秘密、気と心と言葉と体の不思議な関係に目覚めるワークショプ。単発で行われるものもある。スケジュールはこちらから。
平岡:気になりますね。
菱倉:…ではそろそろ、長くなりましたけど、ありがとうございました。
平岡:あんまり喋ってないんですけど、大丈夫ですか?
菱倉:ぼくの方がやたら喋ってますよね(笑)。すいません。なんかインタビューじゃなくなっちゃった(汗)。
平岡:あはははは(笑)
菱倉:ご協力ありがとうございました。
平岡:いろいろと勉強になりました。
菱倉:英語バリバリで国際的な人になってください。
平岡:頑張ります(笑)
菱倉:これからが楽しみですね。
終わり