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今日の言葉:「大人になれ」 ホセ・フィゲーレス・フェレール
2018/04/24(火)
ホセ・フィゲーレス・フェレールはコスタリカ史上初めて常備軍を撤廃し、社会改革を進めて、コスタリカを世界トップクラスの社会福祉国家に導いた立役者。
タイトルのセリフ「大人になれ」は、フィゲーレスを目の敵にしていたニカラグアの独裁者ソモサがフィゲーレスにピストルでの決闘を申し込んだ時の返答。
こんなにユニークな人がどうして世界的には無名なのかと不思議に思う。
MITに留学しようとして渡米するも独学の道を選び、ボストンやNYの図書館にこもって読書に没頭、「母校はボストン公共図書館」が口癖だった。そうした読書の中でジェファーソン、空想的社会主義者シャルル・フーリエに影響を受け、平和主義者のエマーソンやトルストイの思想を実世界に生かそうと夢想していた。
帰国してからは集団農場を開設し、畑と書物に時間を費やしていた。この政治とは全く無縁の男が、ある時忽然と表舞台に表れ、政治史に名を残す英雄になるところがドラマティック。第二次大戦中の暴動時、農場主だった彼はラジオの演説で政府の無能と不寛容を痛烈に批判し、逮捕・国外追放される。
民主主義革命真っ最中のメキシコに亡命したフィゲーレスはコスタリカの民主主義が危機的状況にあると確信し、カリブ海諸国からの政治亡命者で自国の独裁者打倒を夢見る元兵士たちに目をつけた。1948年、大統領選で選挙結果を覆したカルデロンに対して武装蜂起し、死者4千人以上、5週間に及んだ戦いに勝利した。その後、軍放棄と社会改革を進めたという流れ。
ほかに、映画「コスタリカの奇跡」の中で紹介されたセリフを抜粋する。
「コスタリカの常備軍はこの要塞の鍵を学校に手渡す。今日からここは文化の中心だ。第二共和国統治評議会はここに国軍を解散する。わが国の安全は警察によって十分に守られているからだ。我々は新しいアメリカ大陸の理想であり続ける。(中略)アメリカよ!諸国も子どもたちもかけがえのない存在なのだ。小国コスタリカは今、とこしえに誓う。心から文明と民主主義を愛してゆくことを」(常備軍廃止の記念式典で)
「軍隊は過去のものです。戦争は正常な状態ではありません。人にとっても地球にもです。戦争は病気で、平和が普通なのです。健康になるため、原因を取り去るべきです。戦争は、人間の原始性の表れなのです。」(晩年のインタビューで)
「米国文明はビジネスマンという人種を生みました。ビジネスマンは人々に多くの物を提供しますが、すべて有料です。非常に危険なことです。社会が物やサービスの製造工場になる。人間の精神性が無視されてしまいます。」(晩年のインタビューで)