週刊EC 詳細
世界平和なう:「マスター、いつもの」みたいな開発計画
今日は横浜市で進められようとしている瀬上沢開発計画の是非を問う住民投票を実施するための署名期間最終日だ。昨今の日本では大規模な住宅地の開発計画は減っているはずだ。
既に開発され尽くして土地が残っていないし、そもそも少子化と増え続ける空き家、緑地の減少によるヒートアイランド現象、気候変動、どこにも大規模な開発計画を進める理由がないのだ。
……いや、一つ考えられる。大手ゼネコンとその開発によって利益を得る企業、そういったところから支持を得てきて、引き続き支持されたい政治家にとっては価値のある事業だということだろう。そのあたりの構造は全く従来通りで代わり映えしない。民意を代弁するはずの政治が金と個人的利得によって流されるというおなじみのアレです。行きつけのバーかなんかで酒飲みが「マスター、いつもの」って言うような無思考で完全にこれまで通りの既定路線。
いい加減こういう程度の低いことやめませんか?
コスタリカの人が聞いたら卒倒するよ。
アメリカでダム壊してる人が「Why Japanese people…!?」って首すくめるよ。
この開発へ大規模な異議申し立てが起きているにはそれなりの理由がある。これまでの経緯など総合的な情報については是非すばらしく整理されたグッドデザインのウェブサイトを見て頂きたい。
この開発の問題点は主に以下の通り。詳しくはウェブサイトで。
- ◎民意に反しまくる計画(2014年の反対署名は11万票、内2〜3万は周辺住民による)
- ◎自然環境悪化を促進(横浜市の緑は減り続けている)
- ◎生活環境の悪化を促進(ヒートアイランド化に拍車をかける)
- ◎行政手続き上の大義がなく都市計画上の矛盾がありまくり。(開発対象地は開発を抑制すべき「市街化調整区域」だったが、2016年に権限が県から市へ移譲されるや急遽、開発可能区域へ変更されている。また、市は「横浜みどり税」を徴収してまで緑の減少に歯止めをかけ、緑豊かな横浜市を次世代に継承するとしているが、市内でもまれな手つかずの森林地帯を積極的につぶそうとしている。ごくありふれた複合型大規模住宅地のために。)
- ◎歴史的文化遺産の喪失(山間を走る江戸道やたくさんの遺跡がある)
ぼくも説明会に参加したが、そこでとても興味深い話を聞くことができた。この住民投票実施のための署名活動には「はっ!?」と目が点になるような驚きがいっぱい。
紙の署名しか許さないとか、期間が2ヶ月限定とか、署名をお願いする人と同じ区民しか署名できないとかほんとにもうSMの亀甲縛りか!っていうぐらい縛りが多い。
特別な代表者が何人か揃うとオールマイティーの場に昇格し、その場では何区民からでも署名オッケーとか(笑)、あのさ、カードゲームやってんじゃないんだよ。馬鹿にしてるよね?(青筋ピクピク)
「一応制度は作っとくよ、そんなに言うならさ、ほら(ドサッ)。だけど、そんな「民意をしっかり聞き届ける」みたいな危なっかしいこと、滅多にやってもらいたくないんだよね、ぶっちゃけ」
というエア民主制度。完全なプレイ。こんな縛りの中で集めなければいけない署名は最低6万票!不備があって弾かれる票を考えると7〜8万票は欲しいところだという。
それにしても、この瀬上沢の一件で感動させられたのは栗田沙耶さんと増山理人さんら(二人ともpatagonia鎌倉店勤務)、「横浜のみどりを未来につなぐ実行委員会」のメンバーがこの亀甲縛りな状況にも関わらず各地で説明会と署名運動を精力的に展開していること。また、そんな社員たちを社をあげて全面的にバックアップするアウトドアブランド・patagoniaの真摯な姿勢だ。相も変わらずの体たらくな行政、企業の姿勢とは対照的に彼らの姿が輝いて見えた。
彼らの示す対案の通り、市がみどり税でこの土地を買い上げ、この豊かな自然環境の保全と活用が実現したらどんなに素晴らしいだろう。
栗田さんの「いわゆる"反対運動"にはしたくない」、「万が一、今回ダメでもこういう動きがきっと何かの役に立つはず」という言葉が印象に残っている。
難しそうだからやめるんじゃない。無法がまかり通る時代、こうしたことをきっかけに立ち上がる人がどんどん増えてくる気がする。逆にそうしなければ、明るい未来なんてこの国にも世界にも来るはずがない。
以下確定情報
場所:港南台駅前(BIRDS前)
時間:12:00~19:00
主催者より「また最後に、私たちと署名を集めてくれるボランティアも大募集中です。興味がある方は、是非ご連絡/コメントでお問い合わせ下さい。30分でも1時間でも2時間での参加も可能です。飛び込み参加も大歓迎!!!」