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アースなあの人:シリアンハンズ代表 スレマーン・ハーリドさん
2018/08/20(月)
シリア問題を国際コミュニティの理解と協力を通して解決すること、シリア国民の困窮状況を改善することを目的に活動する非営利団体「Syrian Hands(シリアンハンド)」代表のスレマーン・ハーリドさんにお話を伺った。(3月末時点のお話をまとめました。)
◎ハーリドさんについて
ハーリドさんはもともとシリアのダルア出身。ダルアは国連事務総長から「この世の地獄」とまで言われた東グータ(ダマスカス)の南100キロの位置にあり、今は停戦中。ハーリドさんの親族は2012年にダルアから逃れて今は隣国ヨルダンで難民生活をしてる。人口8万人のザータリ難民キャンプで半年暮らした後、キャンプを出て小さいアパートを借りて暮らしている。(下の写真はどこの難民キャンプのものか不明)
シリアで日本製アニメを見ていたら日本語の意味を知りたくなり、趣味で勉強していたというハーリドさん。奨学金を得て留学したことをきっかけに日本への移住を考えるようになったという。仕事は語学学校でのアラビア語教師。他に国際理解支援協会に登録しており、中学校や高校でシリアの文化、宗教、風俗について講義する活動もしている(現在、協会がこのプロジェクトを休止中)。
◎シリアの現状
2011年の「アラブの春」をきっかけに始まり21世紀最大の人道危機とも言われるシリア内戦の状況は相当に複雑だ。
下記リンク先コラムの中で著者の末近氏はシリア“内戦”に参加した三者を以下のように整理している。
“国際政治では欧米と露中、中東政治ではサウジアラビアとイラン、そして、国内政治では反体制諸派とアサド政権という三層構造の対立図式が完成したのである。”
つまり、「シリア内戦」という表現は正確でなく、実際には周辺国だけでなく大国の思惑が複雑に絡み合う代理戦争と化している。
つまり、「シリア内戦」という表現は正確でなく、実際には周辺国だけでなく大国の思惑が複雑に絡み合う代理戦争と化している。
詳しく知りたい方は、リンク先の記事をご覧下さい。
これでわかる「シリア内戦」の全貌〜そしてイスラーム国が台頭した
人口2200万人のシリアでこれまでの7年間に渡る内戦での死者は40〜50万人。国内にとどまる避難民と国外に逃れた難民とを合わせて1200万人になるとともに450万人が人道上の危機に直面しているという。
この人数を聞いただけで目眩がするけれど、こんな状態の国に家族や親族がいたら、毎日気持ちが休まることがないだろう。
政権側支配地域は、ロシアやイランから支援を受けているので物資はあるが、反体制派支配地域には国際援助団体などからの物資が届かず、自給自足、一日一食というような状況。郊外で羊や牛などの家畜を飼っている人々はまだいい方で、こうした地域の住民は空爆や銃弾だけでなく飢餓の脅威にもさらされているという。
シリアでは地域ごとに住み分けがはっきりしているという。反体制派支配地域というと武装ゲリラみたいな人ばかりが暮らしているようなイメージが湧くかもしれないが、もともと独裁政権(アラウィー派)の非居住地域だっただけでそこにはもちろん武装していない一般市民が暮らしていたし、今もそこの地域の住民がみな武力闘争に参加しているわけではない。アラブの春をきっかけに一部市民が武装蜂起したり、過激な反政府勢力がそこを拠点にしている事実はあるものの、逃げ後れた人や止むに止まれぬ理由からそこに留まることを選んだ市民が空爆や兵糧攻めの巻き添えを食って死に続けているという現実がある。市民に多くの死者が出ることが反政府勢力へのバイアスになるのを見越してあえて犠牲の多い戦いを続行している節が政権側にはあるそうだ。
政権側支配地域は、ロシアやイランから支援を受けているので物資はあるが、反体制派支配地域には国際援助団体などからの物資が届かず、自給自足、一日一食というような状況。郊外で羊や牛などの家畜を飼っている人々はまだいい方で、こうした地域の住民は空爆や銃弾だけでなく飢餓の脅威にもさらされているという。
シリアでは地域ごとに住み分けがはっきりしているという。反体制派支配地域というと武装ゲリラみたいな人ばかりが暮らしているようなイメージが湧くかもしれないが、もともと独裁政権(アラウィー派)の非居住地域だっただけでそこにはもちろん武装していない一般市民が暮らしていたし、今もそこの地域の住民がみな武力闘争に参加しているわけではない。アラブの春をきっかけに一部市民が武装蜂起したり、過激な反政府勢力がそこを拠点にしている事実はあるものの、逃げ後れた人や止むに止まれぬ理由からそこに留まることを選んだ市民が空爆や兵糧攻めの巻き添えを食って死に続けているという現実がある。市民に多くの死者が出ることが反政府勢力へのバイアスになるのを見越してあえて犠牲の多い戦いを続行している節が政権側にはあるそうだ。
このような過酷な状況の中、シリアンハンドでは最も支援の届かないシリア国内の避難民を対象にした支援に力を入れている。モスクでのバザー、イベントやオンラインでの物販収益金や寄付金を送金したり、靴や衣服など生活必需品を集めて送っている。
「『自国民を虐殺するアサドはとんでもない大統領だ』と国際メディアは口を揃えるし、実際その通りではあるけれど、ロシアが支援していて、国連安保理で拒否権を発動するので国際社会は特に圧力をかけられていない状況。シリア人にとって国連の存在価値はわからない。シリア内戦を解決できないのなら国連に何の存在価値があるのか。そもそも安保理常任理事国はアメリカを始めとしてみんな武器輸出大国」と語るハーリドさん。
◎シリアの国内事情について
「もともとアサドはイスラム教のアラウィー派で人口の1割の少数派。その1割が要職を独占し、権力によって、8割のスンニ派とクルド人、1割のキリスト教徒を支配してきた。軍と警察の8割はアラウィー派、経済も一番大きい会社は全てアラウィー派。電話などシリア経済の4割をアサド一族が独占。その下にアラウィー派、その下にキリスト教徒、その下にスンニ派、その下にクルド人(国籍なし、パスポートなし、差別もひどい)という序列。」
「シリアには秘密警察があり、ずっと北朝鮮と変わらない。誰がスパイかわからないからどんなに仲が良くても絶対に政治の話はしない。もし相手がスパイでないとしてもどこで聞かれてるかわからない。たまに急に行方不明になる人がいた。『政治的な話をしてスパイに聞かれたからか』と噂されることもあった。以前は独り言ですら政治的な発言ができない恐怖政治でアクティビストがいなかった。そうした恐怖感の壁が壊れたのが2011年アラブの春でみんな変化を期待したのにこんなことに…」
◎マスコミ報道について
「“イスラム国”とか“イスラム原理主義”という言葉に惑わされてはいけない。彼らはコーランの教えを守らないのだからそもそもイスラム教信者とは言えない。一応礼拝のようなことをやっているが、教義を自分たちに都合の良いように曲解している。多くの信者を持ち、永く人々から支持されてきた伝統的な宗教ならば、『人を殺すな』、『命を大事にする』、『隣人を助ける』、などという根本の教えは同じ。欧米系マスメディアはムスリムのイメージを悪くするためにあえてテロリスト=ムスリムと混同させるような表現で刷り込みをして増え続けるムスリムを牽制している。」
多くの国を巻き込んで混迷深まるシリア内戦に解決の糸口は見えていないけれど、一刻も早く収束、安定してシリアの人々が落ち着いて暮らせるようになることを願います。
◎シリア支援について
生活必需品に関しては、TMC:(Toyama Muslim Center)が常時受付。特に必要な品物やキャンペーン等についてはFBページやHPなどを参考にして下さい。
【支援物資の送り先】※送料は送り主の負担
〒930-0887
富山県富山市五福4919-16
TMC:(Toyama Muslim Center) TEL : 090-9444-9877
締め切り等はなし
◎シリアンハンズ関連情報
・Online shop > www.syriahands.com/
・Facebook> https://www.facebook.com/syria.hands/
・Instagram> www.instagram.com/Syrian_Hands
・Twitter> www.twitter.com/Syrian_Hands
・E-mail > contact@syriahands.com